こんにちは!TechTreckのふりっつ(@techtreckMK)です。
この記事を読んでくれる人はおそらくLELITやManusの購入を考えている、もしくは興味がある人かなと思います。それだけこの機種は家庭用エスプレッソマシンの中でもごく限られたハイエンド思考のカテゴリに入るものだと感じます。
かく言うふりっつもその内の1人で、かれこれ自宅でエスプレッソを入れること約20年、Saecoのセミオート、フルオート、ネスプレッソのカプセル、デロンギのデディカとマシンを渡り歩いてきましたが、ここに来てようやくLELITやManusに辿り着いたと言うわけです。
今回はこの2つの魅力的なマシンの共通点、違いについて深く掘り下げていきたいと思います。
- LELIT Mara XとEl Rocio Manus Sの共通点、特徴
- ポルタフィルター58mmが重要な点
- 家庭用ハイエンドエスプレッソマシンはどんな人にオススメか?
エスプレッソの味を左右する要素
デロンギやソリスと、LELITやManusとの大きな違い、もちろん値段も全然違いますが個人的に一番違うと思う点は、ポルタフィルターが58mmかそうでないかの違いです。これはエスプレッソの味に大きく関わってきます。
ふりっつはエスプレッソに投資する時、限られた予算の中で何に投資すべきか優先順位を決める際、エスプレッソの味を左右するものから投資すべきと思っています。順序をつけるなら、
- エスプレッソ豆
- グラインダー
- エスプレッソマシン
- パックスクリーン
- WDTツール
まずは何よりエスプレッソ豆。マシンが良かろうが豆がダメなら美味しいエスプレッソは入れれませんし、自分の好みの味の豆に出会えなければ楽しむこともできません。
エスプレッソに限らず最近のコーヒー豆はスペシャルティが主流なのでさまざまな品種、焙煎度、シングルオリジンからブレンドまで幅広い選択肢がありますので非常に悩ましい(嬉しい方)ですよね。
まずは浅煎りの華やかなフレーバーが好みなのか、深煎りのどっしりしたボディを感じたいのか、この2つで探すと好みを見つけやすいかと思います。好みのエスプレッソ豆探しの旅はめちゃ奥深いので、改めて別記事で解説してみたいと思います。
次にグラインダー。エスプレッソは超極細挽きをしないといけないので、エスプレッソ挽きできるグラインダー、なかでも挽き目が微調整できるものが望ましいです。こちらもこだわりだすと奥深い世界なのでまた別で掘り下げたいと思います。
ここまで揃えられて初めてマシンをどうするかという段階にきます。
話をポルタフィルターに戻すと、今回紹介するLELITやManusは58mm(正確には58.55mm)、デロンギは51mmの直径になります。お店、たとえばスターバックスなどのマシンも58mmで一般的に業務用マシンのサイズとなります。
これがどう味に関わるのか。
同じ18gの粉を2つのマシンで抽出した時、51mmは直径が小さい分圧力が高くかかり、58mmは直径が大きい分圧力が低くなります。
51mmの高い圧力でエスプレッソを抽出すると、抽出後半に余分な苦味、雑味が出てきて舌に残る感じが出てきます。
一方58mmは圧力が高くなりすぎずクリーンなきれいな舌触りの味になります。
なぜ低価格帯の家庭用エスプレッソマシンがあえて51mmを採用しているのかというと、低価格マシンはマシンパワーが低く、出力がそれほど出せないのでポルタフィルターの直径を小さくすることで出力不足を補っていると言われています。

今回は家庭用でお店と同等、もしくはそれ以上のエスプレッソを楽しむため58mmポルタフィルターが利用可能なマシン、その中でもバランスの取れた究極の2台、イタリアの合理主義が詰まったLelit Mara Xと、韓国のデジタル・クラフトマンシップが光るEl Rocio Manus Sをバチバチに比較、紹介していきたい。
基本スペック比較
まずは基本スペックから比較していきましょう。
| 項目 | Lelit Mara X (V2) | El Rocio Manus S |
| 原産国 | イタリア | 韓国 |
| ボイラー方式 | 1.8L HX (ステンレス) | 1.8L HX (ステンレス・断熱材付) |
| グループヘッド | E61 | E61 |
| 温度制御 | 3段階スイッチ (PID制御) | デジタルPIDディスプレイ |
| 最大の特徴 | 抽出温度優先モード (Xmode) | 高い静音性とデザイン性 |
| ポンプ | 静音振動ポンプ (非常に静か) | 静音サイレンサー付振動ポンプ |
| プレインフュージョン | 機械的・自動 | 4〜10秒でデジタル設定可能 |
| 起動時間 | 約20分 | 約20分 |
| サイズ (WxDxH) | 220 x 410 x 350 mm | 287 x 487 x 355 mm |
| パワー | 100V 1350W | 120V 800W |
| 重量 | 18.8kg | 20.0kg |
| 横幅 | 非常にスリム (22cm) | 標準的 (28cm) |
| 価格帯 (目安) | 約37万円 | 約24万円 |
| デザイン | ミニマル・ラグジュアリー | モダン |
デザインとビルドクオリティ
LELIT Mara X
サテン仕上げのステンレススチール。他にブラック、ホワイト、ゴールドのバリエーションがありステンレスより1.6万円ほど高いです。
ステンレスモデルはノブなど操作部分がブラック、それ以外のカラーも出るはウッドパーツとなります。無駄を一切削ぎ落としたミニマルなデザインは、まさに「道具」としての美しさがあり、さすがイタリアンブランドといったところ。
特筆すべきは、横幅わずか22cm、奥行き41cmという異次元のコンパクトさ。日本の一般的なキッチンカウンター(奥行き45cm〜60cm)において、このサイズ感は圧倒的な正義です。シングルボイラーを搭載したマシンとしては最もコンパクトだと思います。



El Rocio Manus S
Manusはブラックとホワイトの2種類。ともに全面と操作系はステンレス仕上げとなっています。
LELITがアナログなデザインなのに対しManusはデジテルっぽい要素があり、ショットタイムや設定などを表示するパネル、流量などを制御するダイアルなど備えています。またホットウォーターは利用頻度が少ないとの判断から機能からカットしています。
ただサイズはMaraXよりも一回り大きく、横幅28.7cm、奥行き48.7cm。一般的な台所カウンターで45cmのところが多いと思うので、サイズオーバーで諦めるケースもあるかもです。
https://nogcoffeeroasters.com/products/elrocio-manusEl Rocio Manus S El Rocio Manus S
LELITがラグジュアリー、Manusがインダストリアルなデザインと感じます。
ハイエンドマシンとしての共通点
- E61グループヘッド
- 1.8Lシングルボイラー&HX (ヒートエクスチェンジャー)
- PID温度制御
- 静音バイブレーションポンプ
- 起動時間 約15〜20分
って、ほとんど一緒やないか〜〜い! まあ高価格帯で比較的後発のマシンなので押さえるべきところはおさえてますよね。
まずE61グループヘッド。イタリアのFaema社が1961年に開発されたことからこの名前がついています。真鍮の塊から作られた重厚なヘッドは高温状態を常にキープし安定したショット抽出を支えます。以後今日まで業界標準として実に60年以上も君臨し続けている最も重要なパーツです。
次に1.8Lシングルボイラー。どちらもHXを備えているのが特徴です。シングルボイラーでショット抽出とスチームを当時にできるようにするための機構で、ボイラーをスチームに必要な120℃にキープしつつ、抽出時には配管を通して90℃程度にコントロールしています。2機種の若干の違いでいうと、Manusはボイラーに断熱材が巻かれていますが、実質の違いはほとんどないと言っていいでしょう。
PID温度制御は最近の新しいマシンに搭載している機能で、エスプレッソショットの温度をコントロールできる機能で、Mara Xでは低温、中温、高温の3段階から選択できます。
ポンプ方式はバイブレーションポンプ。これはデロンギなど低価格帯マシンと同じ機構ですが、この2機種に関しては静音仕様となっており、バイブレーションポンプ特有のブウォーーーンという騒音が抑えられた仕様となっています。
もう一つのポンプ方式はロータリーポンプでこちらはより高価格、50万円以上のマシンに採用されているケースが多いです。ロータリーに比べると音は大きいですが、静音仕様が入っていることでかなり抑えられていると感じます。
LELITのマシンでバイブレーションとロータリーの違い、音などを比較したものは、LELIT日本代理店のロストロの代表清水さんが解説している動画が一番分かりやすいので、下記動画をご参考にしてください。
2機種の違い:アナログとデジタル
上記のように主要な機能においては共通点の多い2機種だが、ここからはそれぞれの特徴とも言うべき違いについて解説していきたい。
El Rocio Manus S
Manusは一言でいうと、「最新機能てんこ盛りのデジタルマシン」
レバースイッチでON/OFF操作するような元祖ロケット社のような風貌のマシンにおいては一番後発のマシンで、それゆえこれまで発売されたマシンに搭載されていた欲しい機能は全て盛り込んでいるように思える。また韓国製ということもありデジタル化を上手くしており、伝統的な形状ながらモダンなスタイルに仕立てられている。
特徴的になのは全面にあるダイヤルで、このダイヤルで各種設定を操作できる。よく使われる機能としてはプレインフュージョンの秒数設定ではないだろうか。
プレインフュージョンとは日本語で蒸らし機能のことで、最初の数秒、ごく低圧でお湯をエスプレッソ豆に浸透させることでその後の本抽出でのお湯の通りムラを防ぎ、均等に圧力をかけ抽出するための機能です。これがないと抽出ムラが発生しチャネリングと呼ばれる変なところから変な霧吹きのようなエスプレッソが出てきて、それは悲惨な結果となります。
チャネッたな〜〜、と呟きながら飛び散ったエスプレッソを掃除しないといけない羽目になり、味も悲惨なもので、美味しいエスプレッソを入れる上で、チャネリングだけは避けたいものです。それを防ぐ手段は幾つかあるのですが、もっとも効果的と感じるのはプレインフュージョンかと思います。
そしてもう一つこのダイヤルでできる特徴的なことは、抽出時の圧力をコントロールできる点です。最近の超ハイエンドマシンにはついている機能ですが、パドルシフトなどを操作して抽出中のお湯の湯量をコントロール、結果圧力を上下させることができます。
例えば最初は少し圧力を低めにしてアロマを引き立たせ、中間は9気圧かけてしっかりボディを出し、最後はまた圧力を下げて後半の雑味を抑える、といったコントロールをマニュアルで自分の思いのままにできます。この操作をManusでは全面ダイヤルで行うことができます。
LELIT Mara X
Mara Xは「信頼と伝統のイタリアンエスプレッソマシン」
とてもボイラーが入っているとは思えないコンパクトなボディでありながら、機能美、ビルドクオリティにいっさいの妥協がなく、イタリアの美が凝縮した所有欲、操作欲を満たすこと間違いなしの一品です。
マシンの美しさもさることながら、ポルターフィルターも唯一無二の形状をしています。エスプレッソが出てくるダブルスパウトの真ん中に支柱があり、置いた時に水平に安定するよう設計されており、タンピング時に水平を取りやすいようになっています。またスパウトが直接台に接触しないことで衛生面でも有利な点となっています。

海外製品を日本で使う時の注意点「電圧問題」
高出力の海外の電化製品を使う時に気をつけないといけないのが電圧問題です。日本は世界でも珍しい100V。海外は120Vや200Vという仕様です。日本は大正時代にドイツ製の100V電球が普及してたことと、安全性の観点から100Vがスタンダードになったと言われています。
今回の2機種はそれぞれイタリア製と韓国製ですが、LELITは日本のロストロさんが代理店となっていて、本国LELIT社と交渉の上、100Vの日本仕様を販売しています。日本の100Vでもしっかりした出力で使えるのは嬉しいですよね。
一方Manusはネイビーブルーさんが日本代理店ですが、マシン自体は120V仕様となっておりそのまま使うにはパワー不足がいなめません。ただそこはちゃんとした代理店が入っているだけあって、ネイビーブルー経由で購入すればアップトランス(昇圧機)が付属され、これを使えば100Vを120Vにアップしてマシンに供給され、マシン本来のパワーを出すことができます。
ということで、日本の代理店から購入すれば電圧問題はクリアできるので安心して使えますね。値段が安いからといって並行輸入で買うと電圧問題をクリアできないだけでなく、修理などの保証もなくなるのでご注意を。
スペシャルなカスタムモデル
ここまで2台の魅力に迫ってきましたが、ここまできたらさらに特別な一台が欲しいですよね。そんなあなたには下記のスペシャルなモデルも検討に入れていただきたいです♪
MANUS S × Pesado コラボモデル
オーストラリアの人気ツールメーカー「Pesado 58.5」とコラボした限定モデルがManusには存在します。エスプレッソ好きなら誰もが知るpesadoとのコラボなんて激アツでプラス5万円出せるならこれを選ばない手はないと思います。
下記が標準モデルとの違いです。
- Pesado ポルタフィルター58mm
- Pesado ダブルバスケット
- Pesafo タンパー
- 特別仕様の磨き上げられたノブ
- 特別デザインのフロントダイアル
- スチームがダイアルからノブ仕様に
いや、これって5万以上の装備でしょう。pesadoのボトムレスポルターフィルターを最初から使えるなんて最強です。完全受注生産なので詳しくはネイビーブルーさんにお問い合わせ下さい。

LELIT Mara Xカスタムモデル
こちらはフローコントロールとグループヘッドの圧力計、ノブ類のウォールナット仕様へ変更したカスタムモデルで、お値段プラス10万円となります。
これって実質上位機種のBiancaとほぼ同じレベルじゃないかと感じるくらいです。ManusにあってMara Xになかったフローコントロールが追加され、思いのままに抽出圧力を制御できます。
カスタマイズの値段が高いので迷いどころではありますが、この2機種を迷ってるレベルの人なら最終的にフローコントロールはやりたくなるはずなので、最初からカスタムにするのもありかと思います。

まとめ
今回の比較を通して見えてきたのは、単なる性能差ではなく「ユーザーがどこまで関与したいか」の体験の選択だと思います。
Mara X を選ぶあなたは「最高の効率と結果」を求めるミニマリストだ。マシンの複雑な挙動はアルゴリズムに任せ、自分は一貫したクオリティ、再現性の高いショットの抽出を楽しむ。そんな人に最適だ。
Manus S を選ぶなら、あなたは「プロセスそのものを愛する」探究者だ。デジタル表示を見つめ、蒸らし時間を調整し、その日の豆の状態に完璧にアジャストする。試行錯誤する時間は、贅沢な趣味の極みと言える。
ふりっつはどちらを選ぶか。悩ましい問いですがトラディショナルなエスプレッソイタリアーノを愛するふりっつ的にはイタリア製マシンはロマンそのものなのでLELIT Mara Xを選択します。購入した際は詳しくその魅力を伝えていきたいと思いますので、是非期待していてください!



