こんにちは!TechTreckのふりっつ(@techtreckMK)です。
「イタリアのエスプレッソ」と一口に言っても、北と南では別の飲み物と言えるほど味わいが異なります。その中でもエスプレッソの聖地として名高いのが、ナポリ(Napoli)。この記事では、ナポリ式エスプレッソの特徴を徹底解説しながら、日本で手に入るおすすめナポリ系豆としてRed Stone Coffee のイタリアーノブレンドとBORBONE の BLUをレビューします。
「クレマたっぷり、濃厚でパンチのある一杯」を家で再現したい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
エスプレッソイタリアーノとは?定義と抽出の基本

エスプレッソイタリアーノ(Espresso Italiano)には、イタリアのエスプレッソ協会(INEI)が定めた一般的な指標があります。家庭でも意識すると、格段にクオリティが上がります。
① ブレンド:5種類以上の豆を使う
本場ナポリのエスプレッソは、5種類以上の豆をブレンドするのが伝統スタイル。複数の産地・品種を組み合わせることで、単一豆では出せない複雑な旨みとバランスが生まれます。アラビカ種をベースに、コクとクレマのためにロブスタ種を2〜3割以上ブレンドするのが南イタリアの定番です。
② タンピング:約15kgの圧力でしっかり押し固める
ポルタフィルターにコーヒー粉を詰めたあと、タンパーで約15kg(人体の体重の約20〜25%)の均一な圧力をかけて押し固めます(タンピング)。均一に圧力をかけることで、お湯が粉全体に均等に行き渡り、雑味のないクリーンな抽出が可能になります。
③ 抽出時間:20〜30秒
9気圧の圧力をかけて、20〜30秒で抽出するのが一般的な基準です。短すぎると薄く、長すぎると渋みが出るため、挽き目とタンピングを合わせてこの時間に収まるよう調整するのがポイントです。
④ 抽出量:約25〜30ml(1ショット)
1ショットの抽出量は約25〜30mlが目安。ナポリスタイルでは少し濃いめに仕上げる傾向があります。抽出量はグラムで管理するのが正確で、スケールで25g前後を目標にするのがおすすめです。
💡 エスプレッソの計量はミリリットルよりグラムが正確です。クレマは密度が低いため、見た目の体積と実重量にズレが生じます。詳しくはエスプレッソドリンク11種類の解説記事も参考にしてください。
イタリアの地方別エスプレッソの特色
イタリアは南北に長い半島国家。北から南に下るにつれて、エスプレッソの味わいは「繊細・軽やか」から「濃厚・力強さ」へと変化します。

| 地域 | 代表都市 | 豆の特徴 | 焙煎度 | 味のプロファイル |
|---|---|---|---|---|
| 北イタリア | ミラノ、トリノ | アラビカ100%が多い | 中煎り(ハイロースト) | 柔らかな酸味・華やかな香り・すっきりとした後味 |
| 中部イタリア | ローマ、フィレンツェ | アラビカ主体+ロブスタ10〜20% | 中深煎り(シティロースト) | ほどよい苦味・ナッツやチョコのような香ばしさ |
| 南イタリア | ナポリ、シチリア | ロブスタ30〜50%以上ブレンド | 深煎り(フルシティロースト) | パンチのある苦味・濃厚なボディ・スモーキーな香り |
北イタリア(ミラノ)スタイル
ドイツやオーストリアに近い北部では、アラビカ100%もしくはアラビカ比率の高いブレンドが好まれます。中煎りで豆本来の風味を引き出し、柔らかな酸味と華やかな香りが特徴。砂糖なしでエレガントに楽しむスタイルが定着しています。イリー(illy)やラバッツァ(Lavazza)といった有名ブランドは北部のスタイルに近い豆を使っています。
中部イタリア(ローマ)スタイル
北部と南部のバランスを取った「王道のエスプレッソ」。アラビカにロブスタを少量(10〜20%程度)加えることでコクが加わり、ナッツやチョコレートのような香ばしさが際立ちます。立ち飲み(バンコ)でサッと飲む、伝統的なバールスタイルが根付いています。
南イタリア(ナポリ)スタイル
エスプレッソの聖地、ナポリ。ロブスタ比率が高く(30〜50%以上)、深煎りで仕上げるのが特徴です。厚みのあるクレマ、パンチのある苦味、濃厚なボディが生まれます。現地では砂糖をたっぷり入れてスプーンでかき混ぜ、まるでデザートのように飲むのがナポリ流。
なぜナポリ地方のエスプレッソがおすすめなのか

「エスプレッソイタリアーノといえばナポリ」と言われる理由は、いくつかあります。
① エスプレッソ発祥の伝統が今も生きている
ナポリを中心とする南部エリアのバールでは、現在でも9割以上がピストンレバー式のマシンを使っており、昔ながらの手仕事と伝統が受け継がれています。「本物のエスプレッソ」を追求するなら、南イタリアのスタイルが原点と言えます。
② ロブスタブレンドが生む「クレマ」の厚み
ナポリスタイルの最大の特徴が濃厚で厚みのあるクレマです。ロブスタ種を多くブレンドすることで、砂糖を入れてもしばらく沈まないほどの分厚いクレマが生まれます。このクレマこそがエスプレッソの旨みと香りを閉じ込める「蓋」の役割を果たします。
③ ミルクとの相性が抜群
カプチーノやカフェラテにしてもコーヒーの存在感が消えないのがナポリ系豆の強み。スチームミルクたっぷりのカプチーノの中でも、エスプレッソのパンチが活きてきます。
④ 砂糖との化学反応
「苦くて飲めない」と思われがちですが、ナポリエスプレッソは砂糖を入れた瞬間に味が劇的に変化します。パンチのある苦味と砂糖の甘さが絶妙に混ざり合い、まるで高級チョコレートのような複雑な甘さに変わるのです。これがナポリ人が「最高の飲み物」と言って憚らない理由です。
💡 アラビカ種・ロブスタ種の特徴の違いや、フルシティローストとは何かについてはエスプレッソ豆比較16選の記事で詳しく解説しています。
RedStoneCoffee イタリアーノブレンド & BORBONE BLU レビュー
ここからは、日本で入手しやすい2つのナポリ系(もしくはナポリスタイルを意識した)エスプレッソ豆を比較します。

| 項目 | イタリアーノブレンド | BORBONE BLU |
|---|---|---|
| 産地・ブランド | RedStoneCoffee | ナポリ AROMATIKA社 |
| 焙煎度 | 中深煎り(フルシティロースト) | 深煎り(ダークロースト) |
| ブレンド比率 | 非公開(ロブスタ30%くらい?) | アラビカ30% / ロブスタ70% |
| クレマ | ★★★★☆ | ★★★★★ |
| 苦味 | ★★★★☆ | ★★★★★ |
| 甘み・余韻 | ★★★★★(赤ワイン・ダークチョコ系) | ★★★★☆(ナッツ・カカオ系) |
| ボディ感 | ★★★★☆ | ★★★★★ |
| エイジング推奨 | 焙煎後5日目〜(注文後3日以内に発送) | 記載なし(保護ガス充填パッケージ) |
| ミルクとの相性 | ★★★★☆ | ★★★★★ |
| こんな人に | 芳醇な香りと甘みを楽しみたい人 | 濃厚なナポリ本場スタイルを追求したい人 |
RedStoneCoffee イタリアーノブレンド
大阪・堺市に店を構えるRed Stone Coffeeの店主・赤石さんが、イタリアのカッフェや焙煎所に足を運んで研究した末に完成させたオリジナルブレンド。
- 香り:赤ワインを思わせる芳醇な香り
- 味:ダークチョコレートのような深い味わいと甘み
- 焙煎度:中深煎り(フルシティ相当)
- おすすめエイジング:焙煎後5日目以降が飲み頃
注文後3日以内に焙煎・発送されるため、常に鮮度の高い豆が届くのが最大の強みです。イタリアのトラディショナルなエスプレッソを日本で楽しむ場合、一番難しいのが豆の調達だと思います。日本はスペシャルティコーヒーが主流で、イタリアンエスプレッソのような中深煎り、5種類以上のブレンド、酸味少なめのフルボディを日本のロースターから購入するのは選択肢が限られています。
イタリアの有名ロースターの輸入豆を購入することもできますが、しっかり分厚いクレマのあるエスプレッソは鮮度が命。輸入豆は焙煎後、数カ月経っていることも珍しくなく、悩ましい点です。
その点、日本のロースターであるRedStoneCoffeeなら鮮度完璧のバチバチのクレマがあるエスプレッソの抽出が可能な豆をネットで購入することができます。
エスプレッソで抽出すると、甘みとコクのバランスが非常に良く、砂糖なしでも十分楽しめる仕上がり。ナポリスタイルを意識しながらも、日本人の好みに合わせた「芳醇な甘み」を大切にしている印象です。
ナポリという文脈で紹介していますが、それは店主の赤石さんがナポリスタイルが好きとのことで、マシンもレバーマシンを使っています。ただ、イタリアーノブレンドは厳密に言うとナポリと言うよりかはもう少し北よりの中部ローマやフィレンツェあたりの特徴に近いと感じます。
ロブの力強さと分厚いクレマ、アラビカの華やかさがバランスよくブレンドされ、日本人が最初にエスプレッソを楽しむなら間違いない逸品となっています。

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Red Stone Coffee
BORBONE BLU(ボルボーネ・ブルー)
BOBRONEは、18世紀にナポリにコーヒー文化を根付かせたブルボン王家(ボルボーネ王家)の名を冠した、ナポリ発のエスプレッソメーカー。1997年にナポリのコーヒービジネスで長年の経験を持つプロたちが集まって設立した、ナポリ・カンパーニャ州で圧倒的シェアを誇るブランドです。
- ブレンド:アラビカ種+ロブスタ種(ロブ多め)
- 焙煎度:深煎り(ダークロースト・オイリー)
- 味のキャラクター:ナポリエスプレッソの「スタンダード」。濃厚なコクと力強い苦味、そして分厚いクレマが特徴
- ミルク相性:ミルクに負けない存在感でカプチーノに最適
イタリア国内では業販のみで、食品店やスーパーには並ばないというプロ向けの豆。ナポリやローマのバール、フランスやニューヨークのカフェでも使われている本場の味です。BLUはBORBONEの人気ブレンドで、酸味が少なく苦味・コクの強いブレンドになっています。
どちらを選ぶべきか?
2つの豆は、どちらもナポリスタイルを意識しながらもキャラクターが異なります。
- 「香りと甘みを楽しみたい」「エスプレッソ初心者」→ RedStoneCoffee イタリアーノブレンド がおすすめ。芳醇な香りと甘みが際立ち、そのままでもラテでも最強のバランス。
- 「本場ナポリの濃厚スタイルを追求したい」「カプチーノ・ラテに使う」→ BORBONE BLU がおすすめ。分厚いクレマとパンチのある苦味が本場感満点。
💡 ナポリ系を含む豆の横断比較はエスプレッソ豆比較16選の記事で、中部イタリア(シチリア)のミシェラドーロとの違いはミシェラドーロ比較レビューもぜひ合わせてチェックしてみてください。
ナポリスタイルでもっと美味しく飲むポイント

せっかくナポリ系の豆を使うなら、現地流の飲み方も試してみてください。
- 砂糖はたっぷり入れる:ナポリでは1ショットに対して1〜2ティースプーン以上の砂糖を入れるのが一般的。苦味と砂糖が絡み合い、ダークチョコのような甘みに変化します。
- スプーンで軽くかき混ぜる:クレマを崩さず全体にさっとかき混ぜると、泡の層が残ったままでアロマも楽しめます。
- 小さなカップで素早く飲む:デミタスカップで2〜3口でサッと飲むのがナポリ流。冷める前に飲むことで風味が最大限に楽しめます。
- 常温の水(アクア・ナトゥラーレ)と一緒に:スパークリングでなく常温水でクレンジングしながら飲むと、より風味がクリアに感じられます。
💡 エスプレッソを使ったさまざまなドリンクの作り方・比率はエスプレッソドリンク11種類の図解記事を参考にしてください。
まとめ:ナポリ地方のエスプレッソは「本物のイタリアーノ」の結晶

この記事のポイントをまとめます。
- エスプレッソイタリアーノの基本:5種類以上のブレンド・15kgタンピング・20〜30秒抽出・25〜30ml
- 北イタリアは繊細・酸味系、中部はバランス型、南ナポリは濃厚・苦味・クレマが最強
- ナポリがおすすめな理由:伝統・厚いクレマ・ミルクとの相性・砂糖との相乗効果
- RedStoneCoffee イタリアーノブレンド:芳醇な香りと甘みで初心者にも入りやすい日本発ナポリスタイル
- BORBONE BLU:ナポリ本場の濃厚スタイルを追求するならこれ一択
「エスプレッソって苦いだけじゃないの?」と思っているあなたに、ナポリのエスプレッソは新しい扉を開いてくれるはずです。ぜひ砂糖入りで、ナポリ流の一杯を試してみてください。
最後に、2025年12月、エスプレッソを含むイタリア料理がユネスコ世界無形文化遺産に認定されました。
家庭で飲める世界遺産、是非楽しんで見て下さい。


